「利益」と「所得」は別物、ということについて

まず、会計上の「利益」と税法の「所得」というのは異なっている。

会計上の「利益」は、損益計算書の利益で、株主などへの正しい業績の報告が目的になる。これに対して、税法の「所得」は課税のために計算され、この「所得」から、各年度の税金の徴収額が求められるようになる。

 

法人税での「所得」はどのように計算するのか?

それは、会計上の「利益」(損益計算書の当期純利益)に、必要な申告調整を加えることで求められる。

つまり、会計上の「利益」が定まった段階で、さらに必要な税務上の金額の調整が入って、課税される「所得」が算出されるという流れになっている。

この申告調整の作業が確定申告だが、この確定申告の期限に遅れると、延滞金として、追加の税金が徴収されてしまうので、注意が必要となる。具体的には、延滞税、過少申告加算税、重加算税などがある。

 

確定申告での申告調整では、さまざまな会計上の費用や利益の項目を足したり引いたりすることで正しい税額を求める。税法では費用のことを損金、利益のことを益金という。この損金・益金の額を求めるために、別表が用意されている。

 

別表の種類は多く、すべてを覚えきるのは困難だが、代表的なものに以下のものがあるので、掲載しておく。

 

法人税申告書別表

別表一(一)各事業年度の所得にかかる法人税、地方法人税確定申告書

別表一(一)次葉 法人税額と地方法人税額の計算明細書、修正申告である場合の計算

別表二   同族会社等の判定に関する明細書

別表四   所得の金額の計算に関する明細書

別表五(一)利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書   

別表六(一)所得税額の控除に関する明細書

 別表十一(一)個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

別表十一(一の二)一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書

 別表一六(六)栗野美資産の償却額の計算に関する明細書

 

 

 

 

 

 

 

別表十六:特別償却制度

特別償却・・・通常の減価償却に加えて、特定の資産に関して期末に追加の償却を計上することができるとされている。法人税法上の規定。

 

平成29年度改正により創設、改訂が行われた項目は以下の通り。

 

<創設>

・被災代替資産等の特別償却制度

 

<改正>

・特定設備等の特別償却制度

関西文化学術研究都市の文学術研究地区における文化学術研究施設の特別償却制度

・共同利用施設の特別償却制度

・特定地域における工業用機械等の特別償却制度

 

法人税の確定申告に置いては別表六(一)から(五)までを用いて税額を計算する。その後、別表(十六)「特別償却準備金の損金算入に関する明細書の書き方」に特別償却の種類及び適用条項を記入する流れになっている。